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2.242016
たったひとつの記事を書いたことで、私は“パシリ”から編集者になりました。
オーストラリアのシドニーでワーキ
ングホリデーメーカーとして、働いて
いた頃の話です。
ちょうどバイトの契約が満了すると
いう時に、日系の現地観光新聞社が
スタッフを募集しているということで
何気に応募したところ、採用されました。
採用された私の仕事は、いわば
“パシリ”でした。
銀行へ行ったり、郵便局へ行ったり、
月刊新聞の発送作業やったり。営業
事務の手伝いをしたり。
その合間に編集者たちの取材に同行
する形で、通訳まがいのこともして
いました。
といっても、ネイティブなみにペラ
ペラと英語がしゃべれるわけでは
なかったのですが、英語が苦手な
編集者が一人で行くよりは、私が
一緒に行ったほうが、ちょっとだけ
“ベター”というほどのレベルでした。
私には嬉しいグルメ取材が毎月あり、
あれこれとリサーチして、取材先の
リストアップをし、取材先のアポを
とるのも私の仕事でもありました。
イタリアン、フレンチ、韓国、タイ、
ベトナム、トルコ、中華、レバノン、
スペイン料理といった各国の料理を
毎月、国を定めて集中的に取材する
わけです。
オーストラリアは移民大国なので、
世界各国の料理が本場にひけを
とらないクォリティーで食べられる
という、実はめちゃめちゃ美味しい
国でもあります。
食べるものはBBQだけではありません!
話が逸れましたが、取材にはもちろん
実食もあります。
連続3日間、取材でレバノン料理を
食べるということもありました。
食いしん坊の私にとって、仕事とは
いえ、世界各国の料理を食べられる
というのは、“趣味と実益を兼ねる”
そのものでした。
で、そういう時にペアを組んで取材に
同行していていた編集者の進言により
編集長が「櫻木さん、試しにひとつ
グルメ記事書いてみる?」と。
その日、取材に同行したお店の記事を
ひとつ書いて、編集長に提出したとこ
ろ、翌日から編集部へ移動になりました!
その編集者には、本当に感謝しています!
彼女の薦めがなければ、私にチャンス
は巡ってこなかったと思います。
これが、私の編集者としてのキャリア
をスタートさせたきっかけです。
というか、ライターとしてのデビュー
というべきか。
ここから徐々にページ作りやデザイン
のこと、企画のことを現場で教わって
いきました。
東京に住む叔父がある雑誌の編集長を
していたことで、そういう世界への
憧れは多少ありましたが、そういう
業界へ入ることは到底無理だと思って
いた、鹿児島在住の私。
しかし、ひょんなことから、チャンス
は巡ってきたのです。想像だにしな
かったことでした。
今、思えば、あの時、「櫻木さん、
オーストラリアの外交について記事
を書いてみる?」だったら、私は
パシリのままだったはず。
食いしん坊ならではの得意分野の
記事でよかったと今更ながら胸を
撫でおろす私です。
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