編集者という仕事柄、東京に居続けたほうが仕事としては
もっといろいろできただろうに、なぜ鹿児島に？
と問われることがままある。
ここ最近、立て続けに尋ねられたので書いてみる。

シドニーから帰国後、一時期、東京でフリーランス編集者として仕事をしていたが、
出版社の社員としての本採用が決まり、
鹿児島へ一度帰省したときに、一人でぼーっと海を見に行った。

そして、そこでなぜだか一瞬で
「やっぱり東京には住まない。鹿児島で仕事する」と決めた。
東京で仕事をし続けることを迷っていたわけでもなかったのに。

あの一瞬が何だったのかいまだによくわからない。
そういう言葉がすっと降りてきたというような感覚に近かった。

その後、
「本当にそれでいいの？」
「一瞬で決めたけど大丈夫？」
と自分で自分に問いかけることなく…。
何のためらいもなく、決めたあとの後悔もなく。
決めたら選択したほう、つまり鹿児島で仕事をするということに頭を切り替えてすぐに動き始めた。

何かを決断したら、選択しなかったほうについて後々もあれこれと考えないことだ。
「もしもあのとき」ということをどれだけ考えても、
あのときには戻れないのだから。

選択しなかったほうへ未練を残すことほど
みじめったらしいことはない。
私はどちらを選択しても、いいも悪いもそれなりの何かはあると思っている。

私がそのときに決断したことは大きな選択というか、別れ道だったと思う。

鹿児島で仕事をするという選択をしたことにより、今の私がいる。
出会った人々
出合った仕事
出会った伴侶
いろいろな経験…

どのような形であれ何かを決断をしたら、石橋を叩きすぎないこと。
決断するまでは石橋を叩いてもいいが、
決断してからも叩きすぎると橋が壊れてしまう。

そして、他人に意見を求めすぎないこと。

決断した自分を信じて、突き進む。

人に尋ねられて自分を振り返ったときに、改めて思ったこと。

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